
さて、本日の執務報告書に目を通しておきましょうか…。
ふむ、これはイルルクからですね。
『ヴェルエさんへ。先日、主様と共に狩りを終えて屋敷に戻ると、またナジャナさんがワイン倉からこっそりとワインを持ち出していました』…か。
流石イルルクですね、しっかりとよく見ている。
しかしナジャナ…、あれほど言われても止めないとなると、他の方法を考えなければ行けませんね。
ベニーマルクに、酒乱に効く薬でも頼んでみましょうか?
さて、次は…、アニャフィですね。
『ヴェルエさん、最近はいかがお過ごしですか?疲れていませんか?私は今日も一生懸命執務をこなしています。けれど、まだまだ失敗をしてしまうので、どうしたら失敗しないか教えて欲しいです。』ですか。
アニャフィには、アニャフィの良さがありますからね。
慌てず、自信を持てば執務も楽にできるのでしょうが…。
今度、彼女の休憩時に、お話して差し上げましょうかね。
ん?これは記入欄に名前が入っていないですが…。
『ヴェルエへ、お友だちの皆が食べる、食事の品質を少し変えたい。新しく管理表と発注書を同封したので、目を通しておいて欲しい。シェノより』
シェノからでしたか。
なるほど、新たな食材がいくつか増えていますね。
では、発注リストに新たな項目を入れておきましょう。
それにしても、シェノらしい報告書ですね。
とてもよい。
次は…、ナジャナからですか。
『ヴェルエへ、この間のワインの件は、もうしわけありませんでした。二度としないので、禁酒は勘弁してください。』
これでは報告書ではなく、反省文ですね。
ナジャナには困ったものですが、なにも私も鬼ではありません。
決められた場所で、決められたワインを、決められた量飲む分にはまったく構わないのですが…。
これに関しては、イタチごっこになるので、やめておきましょう。
さて、最後ですね。
これはベニーマルクからですね。
『ヴェルエへ、新しい薬の材料リストを送っておくね!何ができるかはお楽しみに!』
ですか。
むっ、なんですかこれは!?
こんな高価な素材を使うのですか!
いくら名門であるオレイノイ家だとしても、そこそこの出費になってしまう…。
彼の研究熱心な所には目を置きますが…これ程のものを揃えるとなると…。
これは一度、主にご相談さしあごなければ…。
ふぅ、これで一通りは目を通しましたか。
おや、そろそろ主のティータイムですね。
では、私が取り寄せたケーキと紅茶を直ぐにご用意せねば。